2015年12月15日

防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。

和歌山大学や近畿地方整備局が主催の「防災ジオツアー」に
参加してきました。

平成23年に甚大な土砂災害のあった那智川流域(和歌山県那智勝浦町)
のジオサイトや砂防堰堤を巡りながら、防災に関わる知識を深めようという
趣旨のイベントでした。
参加費1000円で、40名程度の参加者でした。

防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
初めは、河川の氾濫により多くの被害が出た井関地区。
災害の怖さを忘れないための碑で、被害や状況の説明を受けました。
ここには当時の様子を伝える浸水深3.55mを記したポールも立っています。
水流の凄まじさに思いを馳せつつ、参加者全員で黙祷を捧げました。

防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
次は大きな土石流が発生した金谷山の崩壊地(源頭部)が望める場所に。

崩壊地付近には、上部に火成岩(花崗斑岩)、下部に堆積岩(熊野層群)の境界が
見えます。そこは、小さな滝になっていました。
この境界付近が大きな土石流の要因になっているのでは、と考えられています。
この付近では、学生時代の友人が研究していた玉ねぎの皮が向けるように、
割れていく花崗岩の球状風化や、
もっと過去の土石流で流れ、堆積した大きな石がたくさん見られました。

続いて、那智の滝に移動して、みんなで記念撮影。
那智の滝の麓近くでは、大正時代からの水力発電があるそうです。
先日の雨で水量も多く、迫力ある滝の様子に見入っていました。
那智の滝も、地質境界付近に位置し、滝となっている部分は
火成岩からなっているそうです。

大門坂の駐車場でお弁当を食べて尻剣谷に入りました。
ここも23年の災害で土石流が発生した渓流です。

この渓流に分け入ると、
防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
一度溶けて固まったような形の石や、人が掘ったと思われる穴、赤い土など
他のところとちがって、少し自然っぽくないものに出くわします。
というのも、那智地域では、昔から銅の採掘・精錬が行われていたからだそうです。
その名残が、落ちている石や地形に現れています。

さらに深く分け入ると、
防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
石を積み上げてできた精錬所跡に出くわします。
熊野の産業の歴史の一端を垣間見ることができる貴重な場所です。

最後は、この渓流に作られた砂防堰堤を見学。
防災ジオツアー@那智勝浦町に行ってきました。
なかなか間近で見ることがない砂防堰堤。
鋼製のスリットで、大きな岩を止めることで土石流を止めることを狙ったものです。
おっきなジャングルジムみたいです。

近畿地方整備局の職員さんが丁寧に砂防堰堤の構造や工法、
効果や計画論を教えてくれました。
大人気で、質問攻めに遭われていました。
みなさん、砂防堰堤に関心が高いようでした。


前日の天候と打って変わって、とても穏やかで温かい一日でした。
普段は見えないところに入って、地形を詳しく見たり、自然の石を眺めたり
その違いに目を向けることで文化や歴史を感じることができました。



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Posted by 和歌山サイエンスカフェインフィニティ at 20:59│Comments(0)スタッフ日記
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